病気
脳梗塞で入院して以来、1か月半散髪ができていない。それとともにひげも伸び放題である。倒れてすぐは寝たきりでひげを剃るどころではないし、最近こそ余裕が出てきたものの一定以上伸びてしまったため電気シェーバーでは剃れなくなってしまった。 口ひげと…
ある日、配布されたリハビリ予定表に見慣れぬタイトルが記載されていた。 「介護認定 13:00~13:30」 よくよく記憶をたどると数週間前の医師との面談の際に勧められていたことを思い出した。自治体に要介護度合いを判定いただき、ランクに応じて今…
脳梗塞からの回復期。残る課題の右脚について、総合点は30から40点程度だが、不思議なことに筋肉の部位ごとに全く点数が違う。太もも前面の筋肉は80点あるにも関わらず、つま先を上げる筋肉に至っては5点程度。 そのつま先を集中的に治療するため、理…
おやつが食べたい。 現在入院中の病院の食事は決してまずいわけではない。一般的な病院食のイメージである塩分が足りず味気ないという感覚はないのだが、長期入院になってくるとさすがに飽きてくる。 幸いなことに病室からエレベーターで一階に降りるとコン…
現在入院中のリハビリ病院は21時に消灯となる。病院としては一般的な消灯時間だろうか。ただこの時間に布団に入ると、どうしても深夜に目が覚めてしまう。 とある日の丑三つ時、目が覚めた僕はトイレに行くついでに病棟を歩いてみようと思った。日中のリハビ…
2024年11月下旬 「そろそろ車いすからステップアップをしましょうか」 理学療法担当の眼光ニキから提案があった。 脳梗塞発症から1か月と少し。右足の回復もゆっくりとではあるが進んでおり、装具をつけた状態での歩行が安定してきていた。 「望むと…
現在の病院は病室を出るとすぐにリハビリスペースとなっており、さすが専門病院といった趣を感じさせる。 ゆえに僕が休憩時間の時でもそのスペースで別の患者のリハビリが行われていることが多い。 高齢の患者が多いため必然的に会話のボリュームが大きめと…
現在入院中の病院はリハビリだけではなく投薬や日々の健康管理もしていただける。 毎朝発熱がないかどうか、血圧の測定、体調変化の有無、便通の回数など事細かな指標で見守っていただけるので安心してリハビリに専念できる。 「吉田さ~ん、今朝の調子はど…
脳梗塞・右半身麻痺からの復活を目標に、リハビリ病院への入院から約1か月。 現在の自己評価としては、右手90点、右足30点くらいだろうか。 右足についてもゆっくりとではあるが徐々に回復傾向にあった。 上記の装具(ンプ)をつけた状態での歩行訓練を…
ある日、リハビリ病院のエレベーター前に見慣れぬパーティションが設置されていた。導線を塞ぐようにそれは立っており、エレベーターへの移動が不便に感じた。 「新しい患者さんが院外に出てしまわないように付けたんですよ」看護師さんが説明してくれた。 …
言語療法が終わり、右手もほぼ回復してきた今、課題は右足の回復に絞られた。 現在手すりを持っての伝い歩き状態。赤ちゃんでいうと1歳過ぎくらいだろうか。早急に大人への階段を上っていきたい。 1日のリハビリ時間には限りがあるため(法的な縛りがあるよ…
言語療法のリハビリを数回終え、機能評価テストの最終日となった。 「今日で評価テストは最後です。これまでの吉田さんの成績であれば、もう言語療法は必要なさそうですね。」担当の優男ニキが言った。 今後は言語療法の時間を理学療法や作業療法にあててい…
作業療法のリハビリを受けていたある日のこと。その日の受け持ちの先生は、はじめてお世話になる若い男性。 「初めまして! 今日の作業療法を担当します。まずは身体の状態を見せてくださいね。・・・少し右手がむくんでいるかもしれませんね。ほら、左と比…
先日看護師さんのサポートなしでのベッドから車いすへの移乗を許可いただいた。その際に万一転倒事故が起こってはならないということで、車いすの変更を先生から提案された。 新しい車いすがこちら。(株)松永製作所のネクストコアシリーズ。 上の写真のよ…
転院のタイミングの問題で、またしても1週間以上風呂に入れていなかった。自分のにおいが自分ではわかりにくい可能性があるため、周囲に迷惑をかけていないか心配である。 身体の状況は改善してきており、風呂についても前の病院でのようにフル介助の必要は…
リハビリ病院での作業療法がスタートした。作業療法は主に手の動きなどの細かい動作や書字などの生活関連のリハビリもカバーする。 作業療法の担当は若い男性の先生。パーマが印象的なので「パーマニキ」と呼ぶ。 パーマニキは巨大な知育玩具のようなものを…
リハビリ病院に転院してきて数日。遅々としたスピードではあるが順調に回復してきている自覚があった。社会復帰にあたり自分でできることを一つずつ増やしていかねばならない。 転院当初は、ベッド・車いす間の移乗、車いすでの移動、トイレについては看護師…
リハビリ病院での言語療法が始まった。担当いただくのは、マスクから覗く瞳が優しい30代くらいの男性。「優男ニキ」と名付けよう。 言語療法は病気により認知や記憶の機能に悪影響が出ていないか確認し、改善していくことが目的。自分としては健常時と比較し…
リハビリ病院での初めての理学療法。担当の先生は30代前半とみられる男性。若くして威圧感すら感じさせる眼光が印象的なので「眼光ニキ」と命名する。 眼光ニキは手早く僕の回復状況を把握し、適切なリハビリメニューを提示してくれる。 「この段階では色…
2024年11月5日 救急搬送された病院からリハビリテーション専門病院へと転院した。介護用タクシー(というものがあることも今回初めて知ったが)に車いすごと乗車し、10分ほど走った。2週間ぶりに見る外の世界は何も変わっていないが、変わっていないそのこ…
「吉田さん、転院の日が決まりました。11月5日です!」看護師さんから告げられた。 脳梗塞急性期の2週間をクリアしたので、本格的なリハビリを行うべく専門病院へ転院するとのこと。普段の生活とは全く違う状態だったため、とんでもなく長く感じた2週間だっ…
「おじゃまします~」 さわやかな笑顔でメガネ女子が病室に現れた。 シフトで頻繁に変わる看護師さんやお茶を補給してくださる方など、とにかく登場人物が多く、加えて制服やマスクのせいで顔を覚えられない。ただメガネ女子は全身から醸し出される雰囲気か…
別離はいつも突然にやってくる。 患者ごとのスペースはカーテンで区切られ基本的に患者同士が顔を合わせることが少ない平安貴族スタイルであるが、姿が見えないがゆえに声はより鮮明なイメージで届いてくる。 4人部屋の病室の隣のスペースにいる「歯ぎしりオ…
2024年10月下旬、理学療法の初回リハビリを受けた。一コマ約40分程度の時間を使い、歩行をはじめとする日常動作の回復を目指す。麻痺している右半身のマッサージから始まり、足に運動刺激を入れる施術を受けていく。 「じゃあ、装具をつけて歩いてみ…
いよいよリハビリが始まる。可能な限り身体の状態を戻し、社会復帰を急ぎたいところである。 脳梗塞の一般論としては発症から1~2か月の間が一番機能回復が見込める時期らしく、6か月ほどで状態が固定されるそうである。よって障害等級の判断は発症から6…
救急搬送されて約一週間、風呂に入れていなかった。そもそもこの病院ではフル介助が必要な患者の入浴は週に1回。 ロードバイク練習中に倒れて搬送されたため大量に汗をかいており塩が浮いていた。普段はあまり風呂が好きなタイプではないのだが、さすがに強…
救急車で搬送され、脳梗塞・右半身不随の宣告を受けて数日。かすかに右手に回復の傾向がみられるものの、右足は反応せずいわゆる寝たきりの状態だった。 生きるための最低限の所作もままならず、喫緊の課題となるのは排泄について。 救急搬送された際にいつ…
検査が終わると救急病棟から一般病棟に移された。医者の方針によると、この病院で2週間ほど静養したのちリハビリ病院に転院とのこと。 機能停止した脳細胞は生き返らないので、リハビリを通じて周囲の脳細胞で機能をカバーするらしい。すごいね人体。 ちなみ…
発症当日は特に痛みなどはなかったが、おかしなテンションになっていたせいかほとんど一睡もできなかった。 寝返りがうてないために体勢を変えたい欲求にかられた場合はベッドの機能で頭や足の角度を任意に変更できた。非常に便利な機能だったが動作の際にマ…
「脳梗塞、右半身不随です」 医者からの宣告を聞き、僕は意外にも穏やかな気分だった。とりあえず命は助かった。現時点でできることは医者の指示に従い、退院に向けての努力をすることだけだ。 今ならば、あの偉人の言葉が理解できる。 「こんなにやべえ状況…