転院のタイミングの問題で、またしても1週間以上風呂に入れていなかった。自分のにおいが自分ではわかりにくい可能性があるため、周囲に迷惑をかけていないか心配である。
身体の状況は改善してきており、風呂についても前の病院でのようにフル介助の必要はなさそう。どの程度の介助が必要かを理学療法担当の先生にご判断いただき、いよいよ入浴日がやってきた。
介助入浴用の車いすに移り浴室に足(車輪)を踏み入れる。フル介助用浴室とは異なりしっかりと浴室の体をなしている。
今回サポートいただく看護師さんは体格の良い快活な男性。ムキムキニキと名付けよう。
「まず、かけ湯していきますねぇ~」
ムキムキニキがタライを手にする。だがそのタライのサイズが尋常でなく大きい。ドリフのクライマックスで落ちてくるサイズである。
「こんなにでかいサイズだとめちゃくちゃ重くないですか?」
「格闘技やっているので鍛えられて一石二鳥なんですよぉ~」
ドリフタライから40L程の大量のお湯を背中にかけられる。
ローマ皇帝の風呂の入り方である。
身体を洗うことはほぼ自身でできるようになったものの、足先だけ届かないためムキムキニキに手伝っていただく。
身体を洗い終えるといよいよ浴槽へと向かう。患者と介護者の負担を軽減し安全な入浴を実現するため、浴槽の側面が開き車いすからスムーズに移乗できる介護浴槽を利用させていただいた。
車いすから移乗しムキムキニキがボタンを押すと、浴槽側面がウィーンと持ち上がり自動的にお湯が張られる。近未来感あふれる浴槽のルックスと機構に思わずつぶやく。
「アバター : ウェイ・オブ・ウォーターやないかい・・・」
大げさな仕組みに感動しローマ帝国から近未来へのタイムトリップを楽しんだのだった。
次回、「惑星パンドラを護る最後の戦い!」ぜってえ読んでくれよな!